2012年8月9日木曜日

日本一やかましいお祭り  -桑名石取祭-

こんにちは。
毎日、ウンザリするほど暑い日が続きますね。

家から一歩出ればセミの大合唱、「あ~うるさい!余計に暑く感じるよ」なんて 嘆いていませんか?
今日は、セミの声なんて ほんの“ささやき”にしか聞こえないような
“日本一やかましい祭り” をご紹介しますよ。
“日本一やかましい祭り” といわれる祭り、それは「桑名石取祭(くわないしどりまつり)」のことで、毎年8月の第1土曜日・日曜日に行われる「桑名春日神社」の祭礼です。




この祭りも また、「天下の奇祭」というキャッチフレーズが付くのですがね、私としては“日本一やかましい”というフレーズに興味をそそられた訳なんですよ。
そのうえ、国指定重要無形民俗文化財と聞いたら、何をおいても見に行かねば気がすまない性質でして(^_^.)
私が訪れたのは「本楽」と呼ばれる日曜日。
この日も 真夏の太陽がガンガンに照りつける猛暑日です。
炎天下の外出は、苦手でちょっとだけ気持ちが萎えます(-_-;)
しかし、そんなことは言ってられません。
なんとしても
“日本一やかましい祭り”を見に行かねば!  
首にタオルを巻いて、この日も気合を入れてGOです!




桑名市は、私の住んでいる愛知県のお隣の三重県ではありますが、愛知県寄りに位置するので、それほど遠い訳ではなく高速道路で1時間も走れば行けるところです。
祭りのパンフレットには 祭りの開始は午後1時とありますが、山車の曳きまわしが始まるのは午後4時半からということなので、どうやら「夜祭り」のようです。
ならば少し涼しくなってから行こうかな・・・3時に出発すれば間に合うな、なんて思っていたけど、やっぱり少々駐車場が心配。
結局、2時に出発することにしました。
順調に到着し、用意された小学校の無料駐車場に車を駐車。
まだまだガラガラに空いてます。



ちょっと早すぎたかしら(^_^.)
それでは桑名の町を散策でもしましょうと、歩き出したのが午後3時、しかし、とにかく暑い。

山車の集合している場所までは、そんなに遠いわけじゃないのだけど、もはや汗だくです。
どこかで涼まないことには熱中症にもなりかねない、ということで喫茶店を探し求めて、汗だくで歩いている途中に「石取会館」という、この祭りの資料館を見つけたました。
これはラッキー! ひと休みしようと入ってみれば・・・
私と同じように暑さに負けた多くの先客で満員御礼、椅子は満杯(-_-;)


思わずタメ息、汗だくの私を見て、受付の方が気の毒そうにウチワを差し出してくれました。
「アリガトウゴザイマス」 ・・・(T_T) 
諦めてトボトボ歩きだし、やっと見つけた喫茶店で、厚かましくも一時間ほど粘りましたが、アイスコーヒー一杯で いくらなんでも陽が沈むまで居すわる訳にもいきません。
気合を入れなおし、店を出て歩き出すと遠くからドンチャラドンチャラ賑やかな音が聞こえてきました。
「なんだ、もうこちらに向かっているんだ」と思い、周りを見回してみたものの見物の方もそう集まってはいません。



そこで、日陰に腰掛けて“見どころマップ”を広げて確認、間違いなく山車が通るルートです。
見物人も少ないし、ここで待っていようと決めて座り込んだのはいいけれど、いつまで待ってもドンチャラドンチャラが聞こえてくるだけで、いっこうに山車の姿は見えてきません。
ドンチャラドンチャラの音は次第に大きくなり、近づいて来ている気配はするのですが、いつになったら姿を現すのでしょう?



春日神社

それでは、山車を待つ間に「石取祭」の歴史を辿ってみましょう。
先ほど、この祭りは「桑名春日神社」の祭礼といいましたが、この「桑名春日神社」というのは俗称で、本当は「桑名宗社」というのが正式名だそうです。
「桑名宗社」とは「桑名神社」と「中臣神社」の両社をあわせた名称であり、古来から桑名の総鎮守として崇められてきました。
この神社の歴史は古く、平安時代の記録帳にまでその名を遺しているそうです。



しかし、どうして「春日神社」と呼ばれるようになったのでしょう。
どういう経緯で「春日神社」になったのかは分かりませんが、永仁四年(1296年)に「奈良春日大社」から「春日四柱神」を勧請合祀してから「春日神社」と呼ばれるようになったと記されているそうです。
とにかく壮大な神社であったらしく、織田信長や徳川家康も神領の寄進をしたそうですよ。
また、本田忠勝・松平定綱などの歴代桑名城主から手厚く加護された「春日神社」は、その後の激動の明治時代や大正時代もくぐり抜け、広い境内を誇ったそうですが、昭和20年の戦災で全て消失してしまいました。
現在の社殿は、規模を縮小することにはなりましたが、戦後 氏子の深い理解と努力によって再建されたものだそうです。



では、お次に「石取祭」の成り立ちについてお話しましょう。
そもそも「石取祭」とは、なんの祭り?ってことなんですけど、諸説あって、はっきりしません。
元々、桑名神社の大祭である「比与利祭」の中の一神事であったのが、宝暦年間(1750年代)に分かれて独自の祭りになったとは伝わっています。
しかし、それが どういった神事だったのかが 諸説に分かれるところなのですが、「比与利」というのは、禊祓をした神官たちが石を選ぶ時にヒョウリヒョウリと笛吹き鳴らしたことからそう呼ばれるようになったのとあります。


では、なぜ石を選ぶ必要があったのでしょうか?
石占い説、社地修理説、流鏑馬の馬場修理説と、まあ いろいろありますが、とにかく石を選び それを運ぶ神事であったのでしょう。
しかし、どうして「比与利祭」が「石取祭」に、ヒョウリヒョウリが ドンチャラドンチャラ になっちゃったのかしら?
その辺のことは さっぱり分かりませんが、どうやら「音」というのがこの祭りのキーワードであるような気がします。



これは、私の勝手な憶測で、そんなことはどの文献にも書かれてはいないようですが、音を打ち鳴らすことによって “邪気を追い払う” というようなことではないでしょうかね.。
まったく根拠のない推察ですけど・・・(~_~;)
まあ、私の憶測なんてどうでもいいですけど、桑名石取祭保存会のホームページには“400年の歴史”とありますから、とにかく伝統を誇る祭りであることは間違いありませんね。





さて、話は祭り当日に戻ることにしましょう。
聞こえてくるドンチャラドンチャラを待つこと1時間半、やっと一番山車が現れました。
石取祭においては、山車のことを祭車と呼ぶようなので、ここからは祭車と紹介しますね。
祭車は小振りで、3輪の御所車タイプです。
前方にいる3~4人で引っ張っているだけですから、そんなに重量はないのでしょう。
電線に引っかからないように提灯柱を折りたたむ役目の人が2人乗っていますが、3輪なので安定も良いし、方向転換も簡単に出来そうな形です。


前方の12張の提灯が吊るされた柱が立てられ、後方に積まれた太鼓と太鼓の両脇に吊り下げられた鉦(4個~5個)をドンチャラ打ち鳴らしながら巡行していきます。
提灯の柱の代わりに人形を立てている祭車も2~3台ありますが、ほとんどは提灯タイプです。
後方の太鼓の上には立派な織物の天幕がありますが、止まって叩き出し(たたきだし)をするときのみ掲げられます。
祭車のほとんどは、昭和の時代に造られたものですが、どの祭車も美しい彫刻が施され、とても優美です。




無塗装のもの、黒や朱の漆塗りされたもの、中には輝くばかりの貝蒔絵が施されたものまで、祭車の装飾はそれぞれ違いますが、基本的形や大きさは どの祭車も同じようです。
しかし、この祭りにとって祭車も町の自慢ではあるのでしょうが、その美しさを競うことより重要なのは、若衆の勢いなのではないかと私は感じました。
若衆たちは、交代で途切れることなく太鼓を敲き、鉦を打ち鳴らし続けるのです。
今年参加した祭車の数は38台。
その38台が、一斉にドンチャラ、ドンチャラ打ち鳴らし続けるのですから、そりゃもう賑やかです。


いや、賑やかと言うより、やっぱりやかましいです!
太鼓と鉦だけで、ほかに お囃子や歌が入るわけではなくて、ただただ ドンチャラ、ドンチャラ、いたってシンプル打楽器だけの構成。
しかし、その単純なリズムの繰り返しが、かえって馴染みやすくもあります。

それに若衆たちの掛け声まで加わると このうえなくうるさいのですが、慣れてくると それが決して嫌じゃないから不思議です。


やがて提灯に灯がともり、このドンチャラにも耳馴れ、私も祭り気分にノリ始めた頃、地元の方たちがぞくぞくとやってきました。
そうなのか(゜o゜)
祭りはこれからが、本番なのね。
そういえば、街中をウロウロしていたのは、私のようにカメラをぶらさげて歩いているオジサン・オバサンばっかりでした。



駐車場もヤケに空いてたし、「石取会館」にいたのもカメラマンばっかりだったような・・・。
それにしても、時間はもう8時半を回ってます。
こんな時間からなの~(@_@;)
いったい、この祭り何時までやっているのだろう???
私は、38台ある祭車の内、まだ18台しか見ていません。



全部見て帰りたいけど、とてもじゃないけど無理みたいな予感。
ということで、10時頃まで頑張ったけど、ボディーガードもいない私は夜中まではつき合いきれません。
仕方ないので、後ろ髪を引かれつつも帰途につきました。
帰りの車の中、普段ならCDでも聴きながら運転しますが、この日の帰り道、私の頭の中では ドンチャラ、ドンチャラがずーっと鳴り響いていました。


そして自宅に到着し、シャワーを浴びてベットに潜り込み眠りにつくまで、そのドンチャラは続いていたけど、なんか楽しかったなぁ。
“日本一やかましい祭り” 「石取祭」は、本当に “やかましい” 祭りでしたよ。
伝統があって、威勢もよくて、揃いの法被もカッコよく、地元の方々もほとんど浴衣姿。
それぞれの町の人達が、本当に大事に守ってきたお祭りなんでしょうね。
いやぁ~ 良い夏祭りでした(^o^)
私の “もう一度見てみたいお祭りリスト” に加えたい祭りです。


もし、このブログ読んで下さって、来年はこの祭りを見物に行こうと思ったみなさん、到着時刻は陽が落ちてからで充分間に合うので、ゆっくりとお出かけくださいね。
ちなみに私が帰る頃、駐車場には入庫待ちの車が行列をなしていましたけれど、ね。
では、この辺で失礼いたします。
本日も、読んでくださってありがとうございました<(_ _)>


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