2012年8月1日水曜日

勇壮な武者絵の万燈が乱舞する  -刈谷万燈祭-

広小路 (右)弁慶と牛若丸
こんにちは。
暑い暑い熱帯夜、ロンドンオリンピックでの熱き戦いから目が離せず、寝不足気味の方も多いでことでしょうね。
そんな暑い日に、私は熱い祭りに出会いましたよ。
今日ご紹介するのは、愛知県刈谷市の「刈谷万燈祭(まんどまつり)」です。
キャッチフレーズは“天下の奇祭”なんですが、この“天下の奇祭”と呼ばれる祭りは日本中にいくつあるのでしょうかね。
私が思うに「刈谷万燈祭」は“奇祭”と呼ぶほど変わった祭りではなかったように思うのですが(-_-;)
東陽町山車回し

いえいえ、決してけなしているわけではないのですよ。

さしずめ、私だったら“奇祭”ではなく、“気祭”あるいは“喜祭”と呼びたいなぁ~などと勝手に思ってしまったわけでして、それくらい気合の入った歓喜のお祭りだと感じたのです。
なんてったって、若衆の勢いが凄いのです。
気温も半端なく暑いですが、それ以上に若衆の心意気も熱い!
暑い熱い夏祭りに、観ている私たち観客も否応なく巻き込まれていくこと間違いなしの迫力に圧倒されてしまうお祭り、それが「刈谷万燈祭」です。



銀座 鞍馬山遮那王と大天狗


灯りの祭りですから、夕方から始まる祭りなのですが、前日の駐車場探しに懲りた私は早めに刈谷市に到着しました。
すんなり最寄の駐車場に車を駐車し、メインとなる大通りに直行しましたがまだ静かなものです。
とりあえず、この祭りの祭祀である「秋葉社」にお参りに行ったのですが、ここも静かなものです。

こじんまりとした「秋葉社」には、祭りの気配はすれどもあまりひとけもありません。

刈谷 秋葉社


あれ?間違っちゃったかな?と思いつつ歩いていると、ボチボチ露店などを設営をしている場所に行きつきました。
子供たちは走り廻っているけれど、あまりお祭りらしさも感じられません。
そこで、また街中を散策することにしたのですが、暑くてかないません。
熱中症になっても困るので、やっとみつけた喫茶店で涼むことに。

寺横町 連獅子


アイスコーヒーを飲みながら、カメラをいじっていた私に、ひとりの女性の方が声を掛けてくださいました。
「お祭りを見に来たの?どこから?」
「はい、名古屋から」
そう答えると、いろいろ祭りのスケジュールについて詳しく教えてくださいました。
その方は、どうやら商工会の方のようで、この喫茶店で打ち合わせをなさっていたようです。

まだまだ、祭りの開始の時間まで2時間もあり、どうやって時間を潰そうかと思案していたところ、話を聞いていた喫茶店の奥さんが「暑いから、ゆっくりここで待っていればいいよ」と言ってくださるではないですか。
なんとまぁ、ありがたいお言葉!
お言葉に甘えて、涼ましていただくことにしました。


司町 ヤマタノオロチ




とはいえ、ただ甘えるばかりでは申し訳ないので、スパゲッティー(ここでは決してパスタとは言わない)を注文して売り上げに貢献(*^^)v
そうこうするうちに、喫茶店の前を賑やかなお囃子とともに万燈が通り過ぎていきました。
いよいよかな?
喫茶店の奥さんにお礼を言って料金を支払い、大通りにいってみると、そこには武者絵をかたどった万燈がズラリと並んでいました。
まだ明るいので万燈には灯が入っていませんが、なかなか壮観な眺めです。

司町の山車回し
いつの間にやら、今までどこにいたのだろうと思えるほどの法被姿の若衆であふれかえっている大通り。
やがて、その法被姿の若衆が太鼓を載せた小さな山車を中心に集まり、太鼓を敲きながら気勢を上げ始めました。
まあ、その威勢のいいこと!
こう言っちゃ失礼かも知れませんが、お祭り騒ぎの馬鹿騒ぎ!
この日の朝方「尾張津島天王祭」の典雅な“朝祭”を見学してきた私には、その優美な時代絵巻とは正反対のこの祭りに、ただただ唖然。
思わず、なんじゃこれ~(@_@;)
しかし、やがて夕闇が訪れて万燈に灯が入ると、そのお馬鹿騒ぎも一変します。
新栄町 濃州穴間山中ニ山鮫ヲ打ツ


勇壮な 「刈谷万燈祭」 がいよいよ始まったのです。
さっきまで、ただ馬鹿騒ぎの若者だと思っていた若衆が、代わる代わる重さ60㎏もある万燈をひとりで担ぎ、笛や太鼓に合わせ乱舞する姿は力強く、勇壮なのです。
ごめんなさい、馬鹿騒ぎなんて言っちゃって、なにも知らないワタクシが悪うございました(-_-;)

申し訳ないので、ここいらで祭りの歴史などをご紹介しましょう。
「刈谷万燈祭」 は、前回ご紹介した「津島天王祭」と同日、7月の第4土曜日・日曜日に行われた祭りで、愛知県の重要無形民俗文化財に指定されています。
その起源は、安政7年(1778年)といわれています。


広小路五組 山車回し
その根拠は古文書「刈谷庄屋留帳」によるもので、安政7年「秋葉社」の祭礼において、笛や太鼓とともに万燈が登場したと記載されているためで、もっと以前からあったとも思われますがこの年を起源としたそうです。
と、いうことは230年以上の歴史がある祭りということですね。
秋葉の神といえば火伏の神様ですから当然、火難防除・町内安全を祈願するお祭りであるわけですが、一節には「雨乞い」の祭りでもあるといわれています。
この祭りの見どころである美しく彩色された武者絵や歌舞伎絵をかたどった万燈は、それぞれの町内の手作りによるもので、およぞ3ヶ月ほどの時間を費やして制作されるそうです。
広小路 川中島


万燈の大きさは、高さが約5m、幅は約3m、その重さ60㎏にもなるそうです。
骨組になる木材に竹を組み合わせて紐で結び、和紙を張って彩色するといった手の込んだ手順によって出来上がる万燈は、町民が力を合わせて制作されるのです。
それによって、より結束も固まるというものですよね。
近年では、秋葉社の氏子町7組(広小路・新栄町・銀座・司町・寺横町・東陽町・広小路五組)に加え、地元に拠点を置く企業アイシン精機や地域グループの参加もあり、ますます勢いのある祭りとなっているそうです。


司町の子供万燈


また、この勇壮な祭りにも多く女性が参加するようになり、祭りは一層華やかになりつつあります。
まあ、さすがに60㎏の万燈を担ぐ娘さんは見かけませんでしたが、近いうちに万燈を担ぐお嬢さんが現れるかもしれませんね。

さて、お祭りの実況中継に戻りましょう。

なにも「刈谷万燈祭」 は、大人ばかりの祭りではありませんよ。
各町内には、子供が作った万燈も登場します。
小振りではありますが、子供たちの万燈も決して大人の万燈に負けてはいません。
低学年の子供の万燈は、実に可愛らしくキャラクターをかたどったもの。

高学年の子供の万燈は、大人の万燈の4分の1くらいの大きさのものですが、立派な武者絵が描かれているものもありましたよ。
いよいよ万燈に灯が灯されると、それぞれの町の万燈が順番に「秋葉社」の境内へと向かいます。
そこで万燈の奉納舞が行われるのですが、狭い路地を通り抜け、あまり広くはない「秋葉社」の境内で行われる奉納舞は、狭いからこそ余計に迫力あるものとなります。
やがて、大通りに戻った万燈は、一斉に万燈回しの競演に至るのだそうですが・・・。
前日からのハードスケジュールの私は疲労困憊です(>_<)
うしろ髪を引かれながらも、この辺で引き上げることにしました。

それにしてもパワーあふれるこの祭り。
最初は激しすぎて気おくれしてしまった私には馴染めませんでしたが、徐々にその迫力に巻き込まれていきました。
帰る頃には、夏祭りはこうでなけりゃ!ってなもんで、車ゆえにビールも飲めない悲しさを味わいましたよ<(`^´)>
次にまた、この祭りに行くときがあれば、運転手つきか電車で行こうと心に誓った私なのでした。
お粗末<(_ _)>



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