2012年5月9日水曜日

山車文楽と糸からくり  知立まつり

知立まつり 山車揃え

大型連休も終わり、いつしか初夏の陽射しがまぶしい季節になりましたね。
本日ご紹介するのは、歌川広重の東海道五十三次にも描かれている三十九番目の宿場町「池鯉鮒」(現在は知立市)の「知立まつり」です。
まずは、私が今回このまつりをご紹介するきっかけとなったエピソードからお話させていただきますね。
「知立まつり」は、毎年5月2日と5月3日の2日間行われます。

宝町


ゴールデンウィークの最中でもあり、日本全国各地で祭りが行われる祭りウィークでもある時期です。
お祭りウォッチャーの私としては、どこの祭りを見に行くか思案のしどころです。
どこも混雑が予想されるし、天候次第ってことで考えあぐねていたところ、私にこの祭りに行くべきだと後押ししてくれた出会いがありました。
それは、「知立まつり」の開催される1日前、5月1日のことです。
私はカキツバタの写真を撮影するために、知立市の無量寿寺の境内にある史跡「八橋かきつばた園」を訪れていました。

山町


まだ咲き始めとあって園内は、さほどの混雑もなく自由に撮影を終え、帰ろうとしたところ、観光ボランティアのおじさんが声を掛けてくださいました。
「いい写真は撮れたかね?今年は開花が遅くてねぇ、どこから来なさったかね」
こうやって気にかけてくださる温かいお言葉が、なにより嬉しいのです。
おじさんとあれやこれや雑談していると、ふと横にあった「知立まつり」のポスターに気がついたのです。
そこで、私はおじさんに「知立まつり」のことを尋ねてみました。
すると、おじさんは熱心にお祭りのことを説明してくださいました。

中新町



知立のお祭りは、一年ごとに「本祭」と「間祭」が交互に行われる事、そして今年の祭りは「本祭り」である事、「本祭」の自慢は山車の上で行われる山車文楽にありとのことだそうです。
ポスターには、「国指定重要無形民俗文化財・山車文楽・からくり」とあります。
決めました!明日また知立に来ようと。
こんな出会いがあって翌日・・・あいにく朝からの雨模様(-_-;)
でも、もう一日あります!
仕方ないので家で「知立まつり」のアレコレを検索、どなたかの撮られたYoutubeを見て、ワクワクしながら翌日を待ちました。


本町

そして翌々日、天候は上々気温がぐんぐん上がり、初夏の日差しです。
我が家から知立は、さほど遠くないので1時間ほどで到着です。
街中は駐車場待ちの車で混雑していましたが、実は、ちゃっかりボランティアのおじさんに地元民ならではの無料で車を駐車出来る場所を聞いていたのでスンナリと車を置いて10分ほど歩き、祭りの拠点「知立神社」に到着しました。


西町


では、ここで「知立まつり」の歴史やその他の説明しますね。
「知立まつり」は知立神社の祭礼で、その始まりは江戸時代初期といわれています。
ボランティアのおじさんが教えてくださったとおり、一年おきに「本祭」と「間祭」が交互に行われ、「本祭」には、5つの町から高さ7m総重量5tの山車が5台繰り出されます。
そして、その山車の上で文楽及び人形からくりが上演されるのが最大の特徴です。


宝町 山車文楽「壺坂霊験記」

中部地方の山車祭りは、人形からくりを備えた山車が比較的多く、私も幾つか町で、それぞれの人形からくりを拝見してきましたが、文楽を上演する山車は初めての見学です。
知立の山車は、5台の内4台(宝町・山町・中新町・本町)で文楽が上演され、残る1台(西町)で人形からくりが上演されます。
文楽については3人遣いの人形浄瑠璃、人形からくりについては知立からくりと呼ばれる糸からくりで大変めずらしいのだそうです。


西町 山車からくり
(知立市のホームページからお借りしました)

さて、前置きが長くなりましたが、 では「知立まつり」の実況を。
私が到着したころ、もう「知立神社」付近は大変な盛り上がりでした。
境内から近隣住宅街まで多数の露店が立ち並び、大勢の人々で賑わっています。
こりゃ写真を撮るのは難儀だなぁ~(>_<)と、ちょっと意気消沈。
仕方ないので、山車が境内に入ってくるところを捉えようと決め、神社の入口付近で待つことに。
露店でアレコレ買い込み、神社の裏手の日陰で一休み。


知立神社
そうこうしてる間に神社の宮入が始まる時刻となったので、入口付近で待機。
お囃子の音とともに、住宅街の坂道を絢爛な山車が降りてきました。
先頭の山車は、宝町の山車。
おもに子供や女性が綱を引き、のんびりとやってくるのだなぁ~と思いきや・・・なんと梶棒は山車後方にだけあり、頑強な男たちが山車後方を持ち上げているではないですか!
目の前に現れた山車は、凄い力技で方向転換をすると、神社前の高架を避けるために横切っていきました。
大きなどよめきと拍手が湧きます。
まさに大迫力です!


知立市無量寿寺 史跡「八橋かきつばた園」のカキツバタ
文楽やからくりというワードに気をとられていた私には、こんな勇壮な場面は予測外だったので、もうびっくり!
その後、山町・中新町・本町・西町と続く山車の宮入に興奮して、私はカメラのシャッターを押し続けました。

5台が「知立神社」に勢ぞろいしたところで、一台づつの奉納上演となったのですが・・・。
ごめんなさい。
写真は撮れませんでした<(_ _)>
あまりの人出につけ入る隙などどこにもなく、どんなに背伸びしようともまったく見えず終いでした。
辛うじて手を目いっぱい上げて、やっと1枚が関の山。
お許しください・・・。
あれだけ奉納上演について書いておいて、誠に申し訳ないので、知立市のホームページの写真をちょっとお借りしてUPしておきます。
しかし、私的には大満足のお祭りに出会うことができました。
やっぱり祭りは、アゲアゲでないとね!
イェ~イ!「知立まつり」はワイルドだぜぇ~!


4 件のコメント:

  1. 日本の文化を理解する上で、貴重なブログだと思います。これからも続けてください。

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    1. Blue Roseさん、ありがとうございます。
      これからも、いろんな伝統文化に体当たり取材を決行していきたいと思います。

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  2. 小股の切れあがったいい女が、祭の撮影に夢中になっていました。神が乗移ったかのようなその姿に思わず私は手を合わせてしまいました。

    祭の日に人は日常の我を忘れて、強烈な生命の燃焼感の中で神と一体となるのです。めくるめく陶酔の中で生きて在る喜びを感じ取ります。祭が終わった時に人は、今味わったばかりの、周囲の人々との、そして全宇宙との一体感をかみ締めながら静かに家路を急ぎます。

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    1. マサオさん、ありがとうございます。
      祭りは神様に奉納する神事という観念で追いかけていますが、実のところ自分が楽しんでいる次第です。

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