2013年1月5日土曜日

天と地の和合、素朴でおおらか   -てんてこ祭-





皆様、あけましておめでとうございます!
本年も何卒よろしくお願い致します<(_ _)>

え~ 2ヶ月もサボってしまいまして、誠に面目ない次第でありますが、冬は祭りも少ないということで、好きなカメラを持ってフラフラと鳥など追いかけて彷徨い歩き回っていました(。-_-。)

さて、新年早々とんでもない写真から始まってしまってギョギョッ(@_@;)!
何じゃコレ!っと、ビックリされた方も多いかと・・・

今日ご紹介するのは、愛知県西尾市に1150年ほど前から伝わる奇祭「てんてこ祭」です。
「てんてこ祭」は、元々“大嘗祭(おおにえのまつり・だいじょうさい)” に由来する大変おめでたいお祭りであります。





“大嘗祭” とは、その年の新穀を天皇が神に捧げる儀式のことなのですが、では通常の “新嘗祭” とはどう違うのでしょう?
儀式としては、“大嘗祭” も “新嘗祭” もなんら変わりません。

意味合いとして違う点があって、それは “新しい天王が即位された年” に行われるのが “大嘗祭” であったということなのです。

もちろん、平成の世にあって今年が“大嘗祭”にあたる訳ではありません。
この祭りの起源が859年の清和天王の即位の年に現在の西尾市熱池(にいけ)一帯が神田に選ばれ、伊勢神宮への献上米を作ることをまかされたことから始まった祭りであったということです。



農民にとって、これは真に光栄なことであり、なんとしても良いお米を作らなければなりません。
そこで、神田の脇に社殿が設けられ豊年満作を祈る祭が行われるようになったのですね。

では、この奇妙な“いでたち”はなんなの?
平安の時代を生きる人々は、現代人より至ってシンプルでおおらかな人達でした。
天と地の和合があってこそ、作物が豊かに育ち、子孫も繁栄するという単純な思想のあらわれであって、なんら深い意味はないのです。



大地が女性であり、そこに種をまく男性がいて実りを迎える!
これほどシンプルな考え方になんの異論が必要でしょうか?

日本各地に生殖器崇拝あるいは信仰といったものがあると聞きますが、呪術的な崇拝など、この祭りに関しては微塵も感じらません。
そこには、伝統の祭りを淡々と受け継ぐ姿と純粋に祭りを寿ぐ人々がいるだけです。


“いでたち” こそ愉快ですが、特別派手な演出もなく、約2時間ほどで終了となる小さな町の小さな祭り。
「ザ・村祭り」といった風情が和みの雰囲気を漂わせていて、観ている人を間違いなく全員楽しい気分にさせてくれます。
いつもなら、ここで祭りの解説などを書きますが、この祭りに関しては小難しい鑑賞ポイントなどありません。


したがって、小難しい解説もしません。というより、あまりにシンプルな祭りゆえ書くことがないのです。なので・・・祭りの実況中継といきましょう。
祭りは、毎年1月3日の午後1時から始まります。
私が到着したのは、正午過ぎ。
用意されていた小学校の無料駐車場に車を駐車して歩くこと5分、公民館で祭りのパンフレットを貰って、時間と順路を確認。
もう大勢のカメラマンが三脚を立ててあちらこちらでスタンバっていらっしゃいます。
テレビ局も来ているようすで、なかなかに有名な祭りなんだなぁ~と実感です。
まぁ、私はいつものごとく “どうにかなるさ” の感覚で、まずは八幡社にお参りをして、出店のヤキソバを食べて腹ごしらえ ( ̄◇ ̄;)
なにせ初めての場所ですから、どこが撮影の絶好ポジションなのか分かりませんが、三脚がたくさん立っているところがそうなんでしょうな。
と、いうことで、なにげに三脚オジサンの群れに潜入・・・
チラリと睨まれはしますが、笑って誤魔化す得意技 (~_~;)


カメラもレンズも少し上級者モデルになったので 、オジサンたちも一目おいてくれる態度に変化。
「近頃の女性は凄いね」と声を掛けてくださって、しばしカメラ談義で行列を待ちます。
カメラ談義といっても、相変わらず私にはよく分からないので、これまた笑って相槌作戦。
自分のそつの無さに、我ながら少々あきれているうちに号砲と共に行列が出発したようです。
来ました!来ましたよ!
紋付袴姿の先駆(塩まき)を先頭に、神職・社守・町内会長・社寺2名,そして赤い覆面で赤い装束の6人の厄男さんたちの行列です。6人の厄男さんの1番目の人は、太鼓を肩にのせてテンテコと打ちながら歩きます。
それで「てんてこ祭」といわれる訳ですね、納得(o^-')b
2番目の厄男さんは、赤い風呂敷に包まれた「米櫃」のようなものを担いでいます。


3番目の厄男さんは、天秤棒のようなものを担いでいます。資料によると、茶樽になます(ぼらの飯鮓)と生魚が入っているのだそうです。
あとの3人は厄男さんは、竹の葉を束にした竹箒を持っています。
で、最初の写真のようなダイコンで出来た“男根”を腰のところに付けているのが、前3人の厄男さんたちです。
この行列の愉快なところは、時々止まっては太鼓の「テンテコ、テンテコ」に合わせて腰を前後にフリフリ!


ちょっと、艶かしい腰の振りに見物人から笑いが湧きます。
これが、大地に種まく男の姿かぁ~!
う~ん、なかなかキレのよい腰振り(≧∇≦)
頼もしい限りですな。

そんな愉快な行列は、やがて八幡社の境内に入ると一旦、神前に米やなますをお供えして、また境内を3周ほど腰をフリフリ行進します。
見物客は大喜び、実に愉快です(^▽^)
そんな中、カメラマンは腰につけた“モノ”を追いかけるのに必死。




なにせバックショットな訳ですから、後からゾロゾロついていく恰好になるのです。
ひたすら、お尻を狙われる厄男さんも変な感じでしょうね。

そんなこんなの行列が終わると、今度は竹箒を持った3人の厄男さんの登場です。

境内の横に結界で囲まれた場所があり、そこで作られた藁灰を竹箒で周囲の人の頭の上に撒き散らすのです。

私は人混みの中で、一瞬なにが起こったのか理解出来ませんでしたが、この灰を被ると厄除けになるとのこと。
写真なんかそっちのけで頭を差し出しましたよ、ご利益頂戴致しまする<(_ _)>
そして、このあと正月らしく餅投げなどが行われるそうですが、持ち投げはカメラを担いだ身には、少々危険なのでここらあたりで退散することにしました。




ちなみにこの祭り、昭和32年に愛知県無形民俗文化財に指定されたそうです。
特別古い装束でもなし、特別使う道具もなし、特別難しい舞があるでもなし、強いて言えばダイコンで “男根” を作るのが伝統の技だそうです ( ̄◇ ̄;)
でも、そんな素朴でおおらかな祭りだからこそ、1150年もの永きにわたり、受け継がれてきたのでしょうね。
なんだか私は、いままで伝統芸能にこだわり過ぎていたのかもしれないと反省しました。
祭りは祭り!
観る人もやる人も、楽しくてバンザイなんですよね。

いやぁ~ この日も楽しい祭りに出会えました。
皆さんも来年は、訪れてみませんか?
新年初笑いで、Happyな1年になること請け合いですよ!

では、今日はこの辺で失礼致します。
また、次の祭りでお会いしましょう(^▽^)/






2 件のコメント:

  1. ここの祭りと小牧市田県町の田縣神社の豊年祭は奇祭として有名ですね。毎年3月15日に開催されます。
    この祭りの名物. てんてこおこしというお菓子があります。

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    1. 匿名さん、コメント、ありがとうございます。
      田縣神社の祭礼も見に行く機会があれば、行きたいと思います(^_^.)

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