2012年2月5日日曜日

鯉のぼり寒ざらし 郡上八幡


鯉のぼり寒ざらし

水の町、郡上八幡の冬の風物詩「鯉のぼり寒ざらし」
この日本ならではの風景を皆さんに御紹介したくて、今日も朝早くから車をカッ飛ばして行ってきましたよ。

郡上八幡といえば「郡上おどり」で有名な観光地ですが、夏ばかりではなく四季を通じて趣きのある城下町です。
長良川最大の支流である吉田川沿いに広がる郡上八幡の町には、往時のおもかげを残す家々もそこかしこで見ることができます。



しかし、そこは観光向けに整備されたわけではありません。
用水路
時代は変われど代々受け継がれたその家で、日常の生活が普通に営まれているのです。
都会人にはめずらしくても、ここでは当たり前の町並みなのです。
この地を旅する人は、そんなところに懐かしさや馴染みやすさを感じるのではないでしょうか。
また、郡上八幡は湧水の町としても有名です。
「日本名水百選」の第1号である「宗祇水」をはじめ、町割りに沿って流れる用水路から聞こえてくる水音がこの町にいっそうの趣きを添えます。
そんな情緒漂う城下町の冬の風物詩「鯉のぼり寒ざらし」は、ここでしか見られない光景なのです。
「鯉のぼり寒ざらし」は郡上本染を継承する「渡辺家」と郡上本染後援会の人達によって行われる伝統行事で、岐阜県重要無形文化財に指定されています。


郡上本染の歴史は古く、安土桃山時代が始まりといわれています。
400年以上の歴史があるわけですね。
「寒ざらし」とは、郡上本染の技法のひとつ「カチン染め」の仕上げの工程です。
いくつかの工程を経て染め上げられた鯉のぼりの糊を洗い流す最後の作業が「寒ざらし」というわけです。
最も寒いこの時期に行われる理由は、より冷たい川の水に晒すことで生地は引き締まり、鮮やかに発色するからだそうです。

さて、どんなに美しい光景に出会えるのか期待を胸に到着した郡上八幡の町。


思っていたほどの混雑もなく、車も最寄の駐車場に収まりました。
「寒ざらし」の行われる吉田川の河岸には、もう多くのカメラマンが三脚をセットしてスタンバイ。
うーん、ポジション取りが厳しいな(-_-;)
でも、大きな一眼レフカメラなど持っていない私は、なにくわぬ顔で近づいていってもカメラマンのおじさん達は気にも留めません。
それをいいことに、するするとポジション確保(^O^)
両横のおじさん達のりっぱな一眼レフカメラを眺めていたら、仲よくなって世間話。
始まるまでの時間も楽しく過ごせば、あっという間。


さあ、いよいよ季節の風物詩「鯉のぼり寒ざらし」が始まりました。
はじめは、地元の小学生による「寒ざらし」体験。
地元の子供達に郷土の伝統文化を身近に感じてもらうことは、とても大事なことだと思います。
やるなぁ、郡上市教育委員会。いいねをポチ!
子供達は、びしょぬれになりながらも楽しそうに「寒ざらし」体験をしていましたよ。
子供達の体験が終わると、いよいよ職人さん達の出番です。
紺屋にふさわしい藍染の法被姿の職人さん達は、おたまとブラシを手にしています。

ええっ、おたま?なんで、おたま?
ちょっとミスマッチに思えた「おたま」ですが、職人さんの作業を見ているうちに納得しました。
なんで「おたま」になったのかは解からないけれど、それがこの「寒ざらし」という工程において、いちばん適した道具であることに間違いないのですから。
おたまの後は、ブラシでやさしく生地をなぞって仕上げとなっていきます。
糊が落とされてゆく「鯉のぼり」は、白地がはっきり浮かびだされ、うろこの一枚一枚が色鮮やかになっていきました。
凍てついた川に入って行う厳しい作業。
だからこそ生まれる美しい伝統芸術。
やっぱり日本は美しい。
この山深い城下町で連綿と受け継がれてきた伝統文化は、まさしく日本人の心に響く情景でした。
日本に生まれて良かったなぁ(~o~)
よし!まだまだ私は日本を追いかけるぞ~!


2 件のコメント:

  1. 行事の内容だけでなく、その背景、そして町並みの雰囲気や行事に参加した人たちを見守る暖かい視点も伝わってくる楽しいレポートですね。
    これからも、私たちの知らない日本を教えて下さい。期待しています。

    返信削除
  2. コメントありがとうございます。
    私達の知らない日本は、まだまだ沢山あります。
    その全部を見ることは出来ないけれど、私のレポートで少しでも日本を感じて頂けたら幸いです。
    拙いブログですが、これからも読者の皆様に私目線の日本を紹介していきたいと思っています。

    返信削除