うだつの町並み |
以前から、訪れてみたい町がありましました。
卯建(うだつ)の町、美濃市です。
うだつのある町並みは、徳島県や長野県、また京都などにも残っているそうですが、美濃市もまた、江戸時代の商人の町の面影が色濃く残る町並みでした。
「うだつ」とは、簡単に説明すると、隣家との境いめの1階屋根と2階屋根の間に張り出すように設けられてた防火壁や屋根の両端を一段高くして火災の類焼を防ぐために造られた防火壁のことです。
うだつ |
この地方は高台に位置し、水の便が悪く、度々の火災に遭ったため、隣家への類焼を防ぐため「うだつ」を設ける家々が多くなったそうです。
やがて、美濃和紙で栄えた商家やいろいろな商売を営む商家が軒を連ねるようになると「うだつ」は、建築においての意匠となり、装飾的ものが増えていきました。
次第に、「うだつ」は財力を誇る手段となり、豪商達は競って立派な「うだつ」を設けていったそうです。
裕福な家しか「うだつ」を設けることができなかったため、一般庶民の願いは「うだつ」のある家を持つこと、それが語源となった言葉が、「うだつが上がらない」だそうですよ。
むくり屋根の小坂邸 |
私も、いっこうに「うだつの上がらない」人生ですが、なんとか食べてはいけているので、良しとします。
さて、「うだつ」の説明は、これくらいにして、町並みの話をしましょう。
印象的だったのは、重要文化財でもある造り酒屋の小坂邸です。
外観的には、美しいむくり屋根が素晴らしく目をひくのですが、屋内の奥行の深さにも驚きです。
奥へと続く小坂邸 |
現在も、普通に生活や商売をされているので、すべて公開されているわけではありませんが、店舗先から中程までは、見せて頂けます。
しかし、そこから奥が、いったいどれだけ続いているのだろうと思うほどの奥行です。
造り酒屋さんですから、きっと奥のほうに醸造所や酒蔵などがあるのでしょうが、あれほど奥行のある家は見たこともありません、もう、びっくりです。
水琴窟のある旧今井邸中庭 |
資料館となって公開されている旧今井家邸は、家具や調度をそのままに残し、当時の商家の面影を再現した建物になっています。
母屋のほかに、離れや土蔵もある大きな邸宅で、中庭には大きな燈籠や水琴窟があり、一流商人の趣味の高さと、町人文化深さを知ることができます。
屋根神様 |
なまこ壁の土蔵 |
歴史的景観を守りながら、普通に暮らすのは、難しいことだと思います。
しかし、うだつの町並みは、とても自然に息づいていました。
町並みは古くても、ほとんどの家がまったく普通の生活を営んでいます。
観光施設がまったくないわけでもありませんが、お土産やさんやカフェが建ち並ぶ観光地とは違った静かな佇まいが、この町の気高さであるような感想を持ちました。
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