蹴鞠はじめの儀 |
正月休みも最後となった4日、平安の雅を今に伝える下鴨神社の祭事「蹴鞠はじめ」の儀を見学するため、一路京都へ向かいました。
天候に不安はあったものの、なんとしても見たい一心で朝8時に自宅を出発しました。
往きは順調に車を飛ばし、10時半に目的地の下鴨神社に到着。
駐車場にも、すんなり車を入れることが出来て一安心。
ここ下鴨神社は、京都の洛北に位置し、境内の広さは約12万4千平方メートル、東京ドーム3個分の広さです。
舞殿 |
樹齢200年~600年の樹木からなる 「糺(ただす)の森」 を含め、国宝である本殿2棟と重要文化財を含む社殿53棟は、平成6年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。
下鴨神社の正式名は、賀茂御祖神社(かもみおやじんじゃ)というそうです。
下鴨神社には、「賀茂建角身命(かもたけつぬみのみこと)」を祀った西殿と、「玉依媛命(たまよりひめのみこと)」を祀った東殿の2つの本殿があり、その両方が国宝に指定されています。
楼門 |
まずは参詣をするべく、朱塗りの楼門をくぐり本殿に向かいました。
本殿の前には囲いがあり、直接拝観することはできませんが、囲いの向こうの本殿に向かって二拝二拍手一拝。
次に本殿前にある十二支を祀った社が7つ並ぶ「言社」で、自分の干支の神様を探して参詣をしました。
参詣も無事済ませ、破魔矢を買って、時刻は、まだ11時。
「蹴鞠はじめ」の開始時刻の午後1時30分までは、たっぷり時間があります。
神服殿と鞠庭 |
さて、どうやって時間を過ごそうかと周囲を見渡すと、神服殿前の「鞠庭」に気がつきました。
まだまだ時間があるのですが、綱の張られた「鞠庭」のまわりでは、早くもカメラマン達の場所取り合戦が始まっていました。
「えっ!もう場所取りなの?」と、少し焦りましたが、時期尚早のような気がしたので、とりあえず腹ごしらえに向かいました。
「糺の森」の参道には、露店の屋台が立ち並んでいて、縁日の風情です。
神社を出て食事をしていたのでは場所取り合戦に遅れをとりそうなので、露店のやきそばを食べて、取り急ぎ「鞠庭」に戻りました。
「鞠庭」には、二重の人垣ができていましたが、まだ焦っても仕方ありません。
そこで、特別公開されている「大炊殿(おおいどの)」を拝観することにしました。
拝観料500円を支払って、葵の庭に入って行くと、そこは塀ひとつ隔てた喧騒とはうって変わり、静けさに支配された場所でした。
「大炊殿」は、ひらたく言うと、神様にお供えする食事の調理場で、現在は使われていませんが、土間にかまどが二つ並んだ、いわゆる台所でした。
特別興味深いものはありませんでしたが、ここも、りっぱな重要文化財とのことでした(~_~;)
やっぱり気が急いて、ゆっくり見ている余裕もなく、結局、拝観もそこそこに「鞠庭」に戻ることにしました。
いよいよ場所取り合戦に参戦です。
時刻は12時、人波をかいくぐり4列目までいったところで周りを見渡し、隙を見計らって3列目に・・・そうこうしてたら、突然、目の前の2列目の椅子席に座っていた人が席を立ったので、間髪入れず着席。
我ながら、びっくりするほど俊敏に動きましたよ、辺りの人も私の早業に、さぞや驚いたことでしょう(゜o゜)!
椅子席は確保したものの、まだ開始時刻まで1時間半もあります。
でも、椅子に座って待つのであれば、楽チン楽チン(*^^)v
余裕で、開始時刻を待っていましたが、なんだか空模様があやしくなってきました。
あっという間に雪雲は広がり、昼だというのに薄暗くなってきたのです。
はらはらと降りだした雪は、やがて本降りになり、私の頭上にも容赦なく積もっていきます。
しかし、首尾よく手に入れた椅子席は、なんとしても死守しなければなりません。
ひたすら、じっと耐え抜きましたよ。
こういう時のために、使い捨てカイロを持参してよかったぁ(^_^.)
4つ持っていたカイロの2つをブーツに入れ、残り2つを背中に貼って、なんとか凌ぎました。
京都の冬は寒い!実感しました(>_<)
やがて雪は止み、いよいよ「蹴鞠はじめ」の開始時刻の午後1時30分となりました。
しかし、「鞠人」は、いっこうに登場しません。
なにしろ、奉納神事ですから、まずは本殿でのお祓いやら祈祷やらがあるそうです。
それから、また首を長くして待つこと30分、やっと「鞠人」の登場です。
「鞠人」が時代装束で登場すると、会場は一瞬ざわめき、一斉にカメラのジャッター音が鳴り響きました。
鞠人の装束は、水干(すいかん)に袴、烏帽子姿なのですが、その装束の華やかさは「雅」そのもので、まるで「源氏物語」の世界です。
大変失礼なんですけど、鞠人の年齢が、あと20才ばかり若かったら、きっと私の妄想にも歯止めがきかなっかったでしょう(~_~;)
「源氏物語」にも蹴鞠の場面がいくつかありますが、その中でも「若菜上」の夕霧や柏木が六条院の庭で蹴鞠に興じる場面は、激しく妄想に駆り立てられる場面です。
なぜなら、この場面で柏木は女三の宮(光源氏の妻)を垣間見て、恋に落ちるのです。
やがて、道ならぬ恋に悩んだ柏木は破滅の道をまっしぐら、命までも落としてしまうのです。
せつない恋の話なんですが、私は、いまいちヒロインである女三の宮が好きになれず、結末にも納得がいかないのですけど・・・。
「源氏物語」の話は、これくらいにして、ここで「蹴鞠」のルールに関してのウンチクをひとつ。
鞠は、右足で蹴るのが決まりなんですよ、知ってました?
膝は曲げずに伸ばしたままで地面に近い低い位置で蹴り、後ろ向きに蹴り上げたりしてはダメなんだそうですよ。
「蹴鞠」は、勝ち負け競う勝負事ではなく、8人または6人で輪になって鞠を蹴り、巧みな足さばきを競い合うといった優雅な遊びなんですよ。
現在では、作法を重んじる伝統芸能ってことなんですけどね。
下鴨神社の「蹴鞠はじめ」の儀は、「蹴鞠保存会」によって行われる奉納儀式のひとつという訳です。
下鴨神社の「蹴鞠はじめ」の儀を観ての感想は、さすが「京の都の伝統行事」と言わざるを得ません。
とにかく、その優雅さに感服しましたよ。
蹴鞠も装束も、それを取り巻く風景も、なにもかもがすべて揃っているのですから文句のつけようがありません。
高速道路をぶっ飛ばし、はるばる名古屋からやって来て、雪にもめげずお地蔵さんのように固まって待ち続けること2時間、それでも待った甲斐はありましたよ。
それほどに美しく華麗な時代絵巻あることは、間違いありません。
しかし、荘厳な時代絵巻を観ているような典雅な時間は、約1時間で終わってしまいました・・・けど。
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