男子便所 |
いきなり、便所の写真から始まる話もどうかと思いますが、「窯垣の小径」資料館で出会ったこの便所に、私はいたく感激したのであります。
どうです?この便器の美しいこと!
たとえ便器であろうとも、ひと筆ひと筆丁寧に描かれた美しい文様に職人魂を感じませんか?
これぞ、日本人の美意識の高さを語るにふさわしいものではありませんか!
世界中の人が日本のトイレにあこがれる昨今、機能ばかりがもてはやされていますが、この美しい便器を見たら、自動で開閉する蓋や暖かい便座が、そんなに重要なことではないように思えてきませんか?
もちろん、その素晴らしい機能に、お世話になってはいるのですが・・・(-_-;)
和式便所 |
昔、母などはトイレのことを「御不浄(ごふじょう)」と言っていました。
「不浄」な場所に「御」をつけて「御不浄」言う、ただの丁寧語ではなくて、本来トイレは神聖な場所であるべきなんです。
「トイレの神様」は、いつも便器を綺麗に磨いていれば、美人にしてくれるのですよね。
こんな美しい便器が家にあれば誰だって、いつもピッカピカに磨きたくなって、そうとうな美人が増えたはず?ではないかしら(^_^;)
トイレ先進国の日本では、なるべくトイレ掃除をしなくてよい便器を開発しているようですが、それでは日本人女性はブスばかりになってしまいますよ。
機能ばかりを追求するのではなく、ここいらで一旦立ち戻って、便器の様式美も再考してみてはいかがでしょうかね、TOTOさん?INAXさん?
浴室 |
染付の便器を見るのは、今回が初めてではありませんが、便器という部品ではなく、便所という完全な形で見せて頂いたのは初めてでした。
これこそが「用の美」なんだなぁ、使うからこその美(現在は使われておりませんが)がある訳です。
いくら便器だけが美しくとも、物が物だけに、便器のみ観賞しても意味はありません。
先人達の生活における美意識の高さやこだわりが、便所という場所にまで及んでいたことに、私は、ただ感服するばかりなのです。
浴室タイル |
この資料館の便所は、便器のみならず、床や壁に使われているタイルが、これまた素晴らしいのです。
浴室のタイルもそうなのですが、これらのタイルは「本業タイル」と呼ばれ、日本における西洋建築の黎明期を支えた重要な建材でもあったのです。
現在タイルといえば、そのほとんどが磁器製でありますが「本業タイル」は、陶器製です。
窯垣の小径 |
元来、瀬戸は良質の陶土の産地であったため、陶器で栄えた町です。
その良質な陶土の表面を磁器の土で覆い、その頃発明された「銅版転写」技術により、異国風の図柄のタイルが大量生産されるようになったのです。
しかし、昭和に入ると磁器製タイルの台頭により、「本業タイル」は衰退していったそうです。
だから陶器製タイルは、今では見られない貴重なタイルでもあるのです。
エンゴロの土留め |
「本業」とは、もともとの仕事という意味で、つまり、陶器のことを示し、それに対して磁器は「新製」と呼ばれるようになったそうです。
これは、やきものに関してのウンチクには自信があった私でも、初めて知る情報でした。
さて、順番がおかしくはなりましたが、トイレとタイルの話はこれくらいにして、今回のぶらぶら散歩は、瀬戸市の「窯垣の小径」です。
「窯垣の小径」とは、その名のとおり「窯垣」と呼ばれる窯道具の廃材で造られた塀や壁、あるいは土留めの続く細道です。
ツクとエブタの土留め |
起伏が激しいうえに、くねくねと曲がりくねっているため、とても歩きやすい道とは言えませんが、陶器の町の風情が色濃く残る地域です。
このあたりは瀬戸市のなかでも、古くからの「やきもの」の主力生産地であり、当時は山の斜面にいくつもの登り窯があったそうです。
窯道具とは、その登り窯などで「製品」を焼く際に使われた道具のことです。
えぶた坂 |
窯道具は、何度も繰り返し使用されたため、固く焼き締められ石にも劣らぬ強度があります。
また、幾度も灰釉を被り微妙な色合いに変化した窯道具は、作為的ではない独特の美しさも備えています。
不要になった窯道具を規則正しく、あるいは一見、無秩序に見えていても工夫されて組まれた塀や壁は、デザイン性よりも素朴さがを感じられ、独特の風情を醸しだしていました。
なんだかトイレの話ばかりで、「窯垣の小径」については、ほんの付け足しみたいになってしまいましたが、瀬戸あるいは「やきもの」を知るうえには、貴重な遺産が残っている地域です。
みなさんも、「窯垣の小径」を歩く機会があったら、資料館の便器をぜひ見てきてください。(まだ言うか(^^)/)
また、幾度も灰釉を被り微妙な色合いに変化した窯道具は、作為的ではない独特の美しさも備えています。
不要になった窯道具を規則正しく、あるいは一見、無秩序に見えていても工夫されて組まれた塀や壁は、デザイン性よりも素朴さがを感じられ、独特の風情を醸しだしていました。
なんだかトイレの話ばかりで、「窯垣の小径」については、ほんの付け足しみたいになってしまいましたが、瀬戸あるいは「やきもの」を知るうえには、貴重な遺産が残っている地域です。
みなさんも、「窯垣の小径」を歩く機会があったら、資料館の便器をぜひ見てきてください。(まだ言うか(^^)/)
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